たかしくんは「はなせい」というものをやっている。 簡単に言うと、たかしくんと話すことで頭が良くなる、そういうたかしくんの営みである。 対話塾とか会話塾とか、そう呼んでもいいのかもしれない。 んで、それ受けてくれている、言ってみればはなせい生徒がいるのだが、彼女が先日模試を受けた時のことを報告してくれた。 塾とは言うが、そこら辺の学習塾と一番違うのは、問題の解き方をやさしくわかりやすく教える、なんてことは全然やらないこと。 そんなことをするから、頭がなまけて、新しいことを知るのが嫌になって、どんどん馬鹿になってテストも勉強も嫌いになっていくのだ。 だから勉強法も試験も基本本人任せ。もちろん多少は相談に乗ったりもするが、「自分で考えることを妨げる何か」を会話の中から探し出し、それを除去する。 彼女の場合は、過去の経験から失敗を恐れる気持ち、失敗した自分を責めてしまう衝動であった。原因らしきものが見えた時、未熟な心理士やカウンセラーもどきはあっせてかえって傷を深くしてしまうことが多い。若い外科医がスピードばかり気にして腫瘍を強引に扱い、周囲の脈管などの重要構造を傷つけてしまうように。たかしくんは時に繊細に、時に大胆に、形成外科で培った手と指の使い方をイメージしながら、あえてすべてを取り除こうとせず、衝動が彼女の気持ちを締め付けるのを、少しだけ緩めるイメージで対話をする。 「どれも時間一杯で。でも、知らないから、解けない!じゃなくて、自分のなかで設定した制限時間の間は、しっかり考えようと努力した。 化学は、少ない知識をうまく使って論理的に考えようとがんばった。」 「ほんでとけたら、うわーできるやんって」 「試験中に知らなかったことがわかって、あっと声が出た」 と。本来持っていたはずの考える力、その使い方が少しずつ分かってきたようである。 |
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